スギ花粉症の症状
スギ花粉症は、花粉症患者の約80%を占めるといわれ、日本では花粉症の代名詞として知らない人はいないほど有名な花粉症です。
スギ(杉)とは?
スギ花粉症の原因植物であるスギ(杉)は、屋久島から東北地方まで分布する、日本特産の常緑の針葉樹・雌雄同株で、裸子植物スギ科に属する植物です。
平地の林や日かげ、丘陵地の森や林の中で自生し、寿命は数千年と長く、有名な屋久島の縄文杉には樹高30m(なかには40~50mのものもあるといわれています)に至るまで成長したものもあります。
スギは直木から出来ているといわれるほど割裂性がよく、 薪割りのように割ることによって、角材から板材までを作ることができます。
よって古来から建材、家具、船材、電柱、彫刻材などの重要な木材として重宝されてきました。
また樹皮はヒノキとともに檜皮葺の屋根用に利用され、葉は乾燥して線香に用いられています。
日本では木材資源として重宝されてきましたが、本来の自生はそう多くなく、ほとんどが、落葉広葉樹林を伐採した後に植林されたものです。
杉は悪者じゃない?
スギ花粉症を含めたアレルギー性疾患は一種の過敏症です。
スギ花粉はもともと人体には害のない物質ですから、多少のスギ花粉を吸い込んでもなんでもありませんし、生まれつきスギ花粉症の人も存在しません。
ところが長年スギ花粉を吸い込んでいると一部の人の体内ではスギ花粉を有害なものとして認識してしまうのです。
一旦スギ花粉を有害だと体の免疫系が誤解してしまうと、毎年スギ花粉を吸入するたびにこれらの外敵を排除しようとして、くしゃみ・鼻水・鼻づまりなどの花粉症の症状が生じてしまうのです。
スギ花粉の飛散量は、前年の夏の気象条件と密接な関係があり、夏の日射量が多く、降水量が少ないほど翌春の飛散量が多くなる傾向があることが分かってきました。
このため、前年夏の気象条件によりスギ花粉の飛散量は多い年と少ない年があるのです。
現在、日本の人口の約10~20%、約1500万人以上もいるといわれるスギ花粉症は30~40代の人が多く、
関東地方にはスギが広範囲に植林されているので、スギ花粉症患者は関東が圧倒的に多いようです。
スギ花粉症の症状・飛散時期・飛散量
スギ花粉症の症状としては、鼻水・鼻づまり・くしゃみ・目の痒み全般にわたりますが、特に目の症状はスギ花粉症患者の約95%の方にみられるといわれます。
一般的なスギ花粉の飛散時期は、九州・四国では2月上旬、関東近辺では2月下旬、東北では3月中旬と、国内でも飛散時期に約1ヵ月もの開きがあります。
スギ花粉の飛散時期でも、日によって飛散量には差があります。
特に飛散量が多くなるのは雨の翌日で晴れていて気温が高く、空気が乾燥して風が強い日は要注意です。
一方、雨の日は飛散量は少なくなりますので、スギ花粉症患者の方は一息つけるときかもしれません。
また、1日のうちでも、正午前後と日没時は、飛散量が多くなる時間帯ですので、難しいかもしれませんが、外出する場合は飛散が多くなる時間帯を避ける工夫も必要かもしれません。
スギ花粉症の原因としては、戦後国の奨励でスギの植林が盛んに行われ、人工林が急増したことが大きな原因ですが、
近年の都会での空気汚染やハウスダスト、食生活の変化、生活環境の悪化なども原因の1つだといわれています。
また近年ではスギ花粉がほとんど飛散しない沖縄や北海道に移住する人も増えてきているようです。